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米軍、震災救援の成果強調 普天間問題に影

2011年4月17日 8:24
米軍、震災救援の成果強調 普天間問題に影

 日米両政府が沖縄県のアメリカ軍普天間基地の全面返還で合意してから12日で15年を迎えた。一方で、東日本大震災で救援にあたったアメリカ軍は、沖縄県に駐留する海兵隊の役割をアピールし、先の見えない普天間問題に影を落としている。

 東日本大震災で「トモダチ作戦」と名づけた救援活動を展開した在日アメリカ軍。宮城・気仙沼市の孤立した島の復旧には、沖縄県にある第31海兵遠征部隊の約2000人があたった。今回の震災を機に、アメリカ軍関係者からは沖縄県に海兵隊が駐留する意義を強調する声が上がり、第31海兵遠征部隊のピーター・ファーナム中佐は「沖縄への駐留を維持することは、災害などの事態への即応能力を鍛えるために極めて重要だ」と述べた。

 また、沖縄県のアメリカ軍のトップである、在沖縄米4軍調整官のケネス・グラック氏も「普天間は決定的に重要だった。兵たんと地上部隊を航空部隊と統合運用することができたからだ」と述べ、普天間基地が果たした役割をアピールした。

 しかし、震災当日、第31海兵遠征部隊の地上兵力のほとんどは、演習のため東南アジアに展開しており、日本海沖に到着したのは6日後のことだった。また、震災翌日から出発した普天間基地所属の航空部隊も、全て山口県の岩国基地を経由しての移動になった。今回の震災救援の経過からは、沖縄県の地の利が生かされたとはいえない実態が浮かぶ。

 グラック4軍調整官は13日、沖縄・仲井真弘多県知事を訪ね、トモダチ作戦の成果を報告した。仲井真知事は、救援活動を評価しながらも、「沖縄におけるアメリカ軍の課題、海兵隊についての話も色々ある」と述べ、普天間基地の県外移設を求める姿勢に変わりはないとクギを刺した。

 また、普天間基地を抱える宜野湾市・安里猛市長も「震災があったからアメリカ軍が必要なのかということは、全然質の違う問題。危険性を一日も早く取り除いていくかというのが、沖縄の基地問題に対する根本なのです」と述べた。

 返還合意から15年、市街地の中にある危険な現状は何一つ変わっていない。震災救援の陰で、返還がますます遠のくのではと懸念の声が高まっている。