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亀裂から汚染水流出、特殊な化学物質投入へ

2011年4月3日 13:09
亀裂から汚染水流出、特殊な化学物質投入へ

 福島第一原子力発電所で、施設にできたひび割れから高濃度の放射性物質を含む水が海に流れ出ていたことがわかり、「東京電力」は3日、特殊な化学物質を投入して水の流出を防ぐ考え。

 汚染された水が流れ出ていたのは、2号機の海水を取り込む取水口の近くにある「ピット」と呼ばれる縦穴。東京電力によると、ピットにたまっていた水の表面から一時間あたり1000ミリシーベルト以上という高い値の放射線量が計測された。このピットの側面にひび割れがあり、そこから汚染された水が海に流れ出ていたという。

 ピットは電源ケーブルが通るトンネルの縦穴で、東京電力は2日、ピットにコンクリートを流し込んでひび割れを塞ぐ作業を進めたが、水の流出は止まらなかった。このため、東京電力は3日、ピットより上流側の天井に穴を開け、そこから「高分子ポリマー」という化学物質を投入することにした。高分子ポリマーは、水を吸収すると約50倍に膨らむ性質があり、紙おむつなどに使われているという。

 2号機では、タービン建屋や外の作業用トンネルにたまった水から極めて高い濃度の放射性物質が検出されていて、こうした水がピットに流れ込んでいる可能性がある。経産省の原子力安全・保安院は、他にも汚染された水が海に漏れ出している場所がないか確認するよう東京電力に指示したが、今のところ他のピットからは水漏れは見つかっていないという。