×

大連の日本住宅、評価の一方で取り壊し進む

2011年1月23日 10:19

 中国・東北部の街・大連では、日本人が約100年前に建設した洋式住宅が残っている。文化的な価値を評価する声もあるが、その建物が今、政府が進める再開発によって取り壊され、住人との間でトラブルが起きている。

 大連は「北方の香港」と呼ばれるほど経済発展が著しい街で、日中戦争が終わるまでの間、日本によって統治された。日本人が当時建てた住宅は、建築から約100年たった今、歴史的・文化的価値があると評価されている。ある家では、畳は取り除かれ、押し入れはベッド代わりに使われるなどのアレンジがされているが、住人は「日本住宅のデザインが気に入っている。冬は暖かいし、夏は涼しい」と、快適な建物だと話している。

 しかし、去年11月、政府は街の再開発に着手。政府から依頼を受けたとみられる業者が住宅の取り壊しを進めていて、300棟のうち、すでに5分の4が壊された。ある住人は「(立ち退き)契約を結んでいないのに、屋上が壊されたり、電気が切られたり、窓ガラスが壊された」と話し、強引な立ち退きが進められていると訴えている。また、「夜に家に戻ると、パワーショベルが家を壊していた」と、外出中に無断で家を取り壊された住人もいる。

 建物が壊された敷地には、がれき目当てに回収業者が集まっている。壊された家のレンガは一個当たり6円で業者に引き取られた後、その10倍の値段で取引され、日本や韓国で建築資材として使われるという。

 日本の面影を残す大連の洋式建築は、約100年の時を経て、街から消えようとしている。