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イギリスの「フリースクール」構想
イギリスでは、今年誕生した新政権が、一定の条件を満たせば誰もが国の費用で学校を作れるというユニークな制度を始めた。ロンドン支局・岩崎建記者が取材した。
ロンドン中心部から電車で30分ほどの閑静な住宅街。ここに暮らすペニーさんは、この日、仲間に大きなニュースを持ってきた。ペニーさんが近所の友達と一緒に申請していた小学校の設立が、最初の審査を通過したのだ。
イギリスでは今年5月、13年ぶりの政権交代が実現。新たに誕生したキャメロン政権が教育政策の目玉として掲げたのが「フリースクール」構想だ。「フリースクール」は、一定の条件を満たせば、ペニーさんのような一般の保護者でも、誰もが申請することができる。運営資金は中央政府から直接提供されるため、私立ではなく「公立学校」となるが、教職員の採用やカリキュラムなどで自由裁量の幅が大きいのが特徴だ。
学校の予定地は、地元の教会の空きスペース。普段は日曜日のミサに通っているおなじみの場所だ。この教会は現在一部を保育園として使っているが、それと共存する形で、まずは一年生の生徒15人だけの小学校を作るという。ペニーさんはもともと教育関係の仕事に携わっていたが、小学校設立を思い立ったのは、深刻な学校不足がきっかけだったそうだ。
仮承認が降りたことを受け、ペニーさんたちはさっそく制服のデザインについて話し合いを始めた。仲間はみな「ご近所さん」。同じ思いを持つ近所の仲間たちがボランティアとして取り組んでいる。それぞれが子育ての真っ最中で、元教師もいれば、最近外国から引っ越してきたばかりという主婦もいる。彼女たちはこの取り組みについて、「地域にとっても子どもたちにとっても、とてもすばらしい、役立つ取り組みだと思うわ。この話を聞いた時、とにかくできることを手伝いたいと思ったの」「引っ越してきたとき、教会で子どもたちのためのプログラムが毎週あって、とても地域の中心になっていると感じたの」と、やりがいを感じているよう。
一方で、この「フリースクール」構想に反対の声をあげる人もいる。全国の教職員で作る組合は、自由に学校が作れることは、裏を返せば「教育環境における差別が生まれる」と指摘する。イギリス最大の教職員組合「NUT」のケビン・コートニー氏は、「公立学校はバランスを考慮して地域ごとにいくつの学校を作るなど計画的に行われています。ところがフリースクールはそれを完全に崩すことになります。(公立校は生徒数に応じて予算も配分されているので)従来の学校から生徒を奪って、中には経済的に苦しくなり閉鎖してしまう学校も出てくるでしょう」と、フリースクールの影響を語っている。
行政に頼らず、地域住民が協力しあいきずなを深めていく新たな社会づくり。「フリースクール」は、その試金石として早ければ来年9月からスタートする。
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