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デイサービス施設に「お泊まり」課題も

2010年9月11日 20:32
デイサービス施設に「お泊まり」課題も

 高齢化が進む中、厚労省の調査では「両親を自宅で介護したい」と答えた人は8割に上る。その一方、自宅で介護している人からは、「夜、仕事や急用の際に高齢者を預ける場所を増やしてほしいと」いう声が上がっている。新たな施設の建設が難しい中、厚労省は、日中、高齢者を預かるデイサービス施設に宿泊ができる制度を始める方針を固めた。このサービスを試験的に行っている施設を取材した。

 東京・北区にあるデイサービス施設「あかり家」。昼間、認知症の高齢者を預かり、リハビリなどを行っている。サービスが終わる午後5時。1人施設に残った松本志げさん(94)はこの日、施設に「お泊まり」するという。高齢者の宿泊サービスにはショートステイなどがあるが、数が少なく数か月前には予約が埋まってしまう。そこで、昼間のみ稼働するデイサービス施設を夜にも活用する「お泊まり」が一部で始まった。

 松本さんの長男・正さん(65)は、できるだけ家族で介護したいと考えているが、松本さんには認知症があり、宿泊サービスに預けるまでは毎日24時間つきっきりだった。正さんは「夜、寝ている時でも戸を開けてうろうろする。私は眠れなくなっちゃいますしね」と話す。

 あかり家が手厚い宿泊サービスを提供できるのは、東京都がモデル事業として3000万円の補助金(2年分)を出しているためだ。利用者が支払う1泊あたりの料金は5200円だが、それでも経営は苦しいという。

 厚労省は、デイサービス施設での宿泊を介護保険の対象にする方針を固め、来年度予算の概算要求に8000床分の施設改修費を盛り込んだ。このサービスは高齢者や家族には好評で、在宅介護を支えるカギになりそうだが、介護現場からは夜勤の職員が確保できるか不安の声もあり、国が正式に導入するには課題も残っている。