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小児肺炎球菌ワクチンの接種希望が増加

2010年6月20日 15:42
小児肺炎球菌ワクチンの接種希望が増加

 子供を病気から守る予防接種の中で、最近、新たに承認され、注目されているワクチンがある。「小児肺炎球菌ワクチン」というもので、現在、接種を希望する親が増えている。

 子供が肺炎球菌に感染するのを防ぐ、小児肺炎球菌ワクチン。今年2月に発売されたばかりだが、川崎市にある「かたおか小児科クリニック」では、一日、約10人の子供が受けに来る。

 肺炎球菌は、日ごろからヒトの鼻やノドにいる身近な菌。しかし、小さい子供、特に2歳未満の乳幼児は免疫がないため感染しやすく、髄膜炎、肺炎、中耳炎などの重い症状を引き起こす場合がある。特に怖いのは、脳の髄膜が感染する髄膜炎で、年間約200人が発症し、そのうち3分の1が死亡したり、重い後遺症が出たりしている。

 かたおか小児科クリニック・片岡正医師は、「髄膜炎は高熱が出て、その後、症状がはっきりするまで時間がかかる。最初(髄膜炎と)わからないことが多く、我々が一番恐れる病気。これを予防するのが一番の大きなポイントだと思います」と話す。

 しかし、問題は費用。世界では、すでに45か国で定期接種(原則公費)になっている小児肺炎球菌ワクチンだが、日本では、受けたい人が自費で受ける任意接種となっていて、費用は一回約1万円。標準の接種回数は4回で、計約4万円が必要になる。片岡医師は、「こういうものは命や健康を守るもので、経済力の差で打てる人と打てない人と、そういう差があってはならない」と話す。

 できる限り多くの子供に小児肺炎球菌ワクチンの予防接種を受けてもらいたい-医師からは、日本でも定期接種に組み込むよう求める声が上がっている。