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首相が沖縄県外全面移設断念、県民の反応は

2010年5月5日 5:18
首相が沖縄県外全面移設断念、県民の反応は

 4日に沖縄県を訪問した鳩山首相は、仲井真県知事と会談し、アメリカ軍普天間基地(沖縄・宜野湾市)の県外への全面移設を断念する考えを伝えた。沖縄県民はどのように受け止めたのか、那覇支局・田頭祥記者が報告する。

 鳩山首相は宜野湾市で行われた対話集会で、「みなさん方のご納得がいただけないことは十分に理解しております」と述べた上で、基地の負担を求めた。沖縄県民からは、なぜ県外移設を断念するのかと言った声が聞かれ、鳩山首相の説明は沖縄県民の理解を得るにはほど遠いものだった。

 これに先立つ仲井真県知事との会談でも、鳩山首相は沖縄に基地の負担を求めた。しかし、日米同盟の重要性や海兵隊の抑止力の観点を理由にされても「何をいまさら」というのが多くの沖縄県民の受け止め方だ。具体的な政府案を示さない中で基地の負担を求めた鳩山首相の言葉に対し、仲井真知事は「今日のお話だと、完全に、完全にというか、かなり県民の思いとのズレがあるというのが実感ですね」と述べたほか、ある沖縄県幹部は「極めて抽象的で当惑している」と漏らした。

 それでも鳩山首相は、鹿児島・徳之島への部隊もしくは訓練移設を示唆することで、自民党政権時代の現行案よりも沖縄の負担は軽くなるとアピールした。しかし、徳之島の地元の合意の見通しがない中では、沖縄県民には空手形にしか映らない。5月末という期限にこだわらず、今一度、真剣に県外・国外移設を模索しない限り、沖縄の理解を得るのは難しい状況となっている。