×

米ロが核軍縮条約合意、ロシアが歓迎の理由

2010年3月28日 3:41

 アメリカとロシアの新しい戦略兵器削減条約が4月8日、チェコ・プラハで調印されることになった。「核兵器のない世界」を目指すオバマ大統領にとって、その第一歩となるものだが、一方のロシアも新たな条約の締結を歓迎している。

 アメリカとロシアの合意内容は、核弾頭の数を2200発から3割削減し、1550発に制限するほか、ミサイルや潜水艦などの運搬手段を1600から800以下にするもので、予想を上回る大幅な削減となった。オバマ大統領の強い意向が反映された形だが、一方のロシアにとっても、この大幅削減は歓迎すべきものだった。

 ロシアは、冷戦時代の兵器や武器を大量に抱えている。セベルドビンスクにある軍事工場では、老朽化した原子力潜水艦の解体作業を行っているが、工場を整備するだけで3000万ドル以上が必要で、そのほとんどはアメリカやフランスなどからの資金援助に頼っている。原潜一隻の解体には数百万ドルがかかるが、この費用も国際援助に頼っている。

 ロシアには約3000発の核兵器があるが、老朽化しているものも多く、新しい装備への切り替えには莫大(ばくだい)な費用が必要だ。しかし、今のロシアに経済的な余力はない。

 アメリカと一対一で渡り合い、大国としての威信を内外に示したロシア。条約の背景には、核兵器を新たなものに切り替えるよりも、削減することでアメリカとの戦力バランスを維持したいというロシア側の思惑も見え隠れする。