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意外な効果も…塀の中の美人コンテスト

2010年2月24日 17:00
意外な効果も…塀の中の美人コンテスト

 モスクワから南に400キロ離れた街・オリョルに、「ロシア反省収容所6番」と呼ばれる、重大な罪を犯した女性受刑者を収容する刑務所がある。ここでは、午前6時の起床から午後10時の就眠まで単調な生活が続くが、この時期、受刑者たちが心待ちにしているイベント「美人コンテスト」が開催される。

 美人コンテストに出場する方法は立候補と推薦があり、今年は7人が晴れの舞台に立つことになった。参加者は、容姿はもちろん、歌や踊りでも「美」を競う。

 所内のパン工房で働くナタリア・ブタロワ受刑者は、立候補した一人。殺人の罪で懲役16年6か月の判決を受け、服役中だ。コンテストの衣装はもちろん自作。「塀の中の単調な生活だから、コンテストはいい気晴らしになるわ」と話すように、こうした作業は気持ちが安らぐという。

 強盗の罪で懲役7年の判決を受けたクシェニヤ・コレウス受刑者は、今まで出場者のバックアップをしていたが、今回は思い切って自分で出場することにした。クシェニヤ受刑者は、コンテストが終われば間もなく刑期を終えて社会に復帰する。人生にケジメをつけるために、この舞台に立つのだという。

 そして、コンテストでは、クシェニヤ受刑者が見事に優勝。歌とダンスが高く評価された。「この優勝は、再び社会で生きていくための勇気につながります」と喜びを語った。

 コンテストには模範囚でなければ出られず、「晴れ舞台に立ちたい」という思いから生活態度を改める受刑者も多いという。意外な効果を生み出す美人コンテストは、現在、ロシアの多くの女子刑務所で開催されている。