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今年もけん引役?中国の経済の課題など報告

2010年1月2日 21:10

 金融危機の影響で世界経済が低迷した09年。そんな中、高い経済成長率を維持したのが中国だ。今年も世界のけん引役となるのか、見通しと課題について藤田和昭記者が報告する。

 上海証券取引所の株式の売買代金は去年、東京株式市場を抜くほどの規模となった。不況にあえぐ世界経済の中で、金融関係者から「最後の楽園」と呼ばれるほど中国は高成長に沸いている。

 アメリカ、日本に次いで世界3位の経済大国となった中国は、リーマンショックの影響でGDP(=国内総生産)が一時落ち込んだが、今年までに総額4兆元(54兆円)を投入するという景気刺激策の効果が表れ、V字回復を遂げた。今年の中国経済の見通しについて、中国では、GDP成長率が9%前後と依然高い値を保つという見方が大勢を占めている。中国の政府系シンクタンクなどが軒並み高い成長率を予測するのは、今年も続く景気刺激策がけん引役になるとみられるためだ。

 こうした中、中国にまた新たな高速鉄道が開通した。国を挙げて進められる交通網の整備は景気対策という狙いもある。54兆円の景気刺激策の約4割をインフラ整備に投入し、自動車購入時の減税などで消費拡大を促すことが中国の戦略だ。また、上海で今年、半年にわたって開催される万国博覧会は、北京オリンピックとは比べものにならないほど中国経済を活気づかせると言われている。

 一方、好調な中国経済の懸念材料の一つが、不動産価格の上昇だ。上海ではこの2年間で2.4倍にはね上がり、一般的なマンションが数千万円と、日本と変わらないほどの額になるほどバブル状態気味となっている。また、中国が好景気だからと大陸に進出する日系企業に必ず恩恵が行き渡るとは言えないと金融関係者は警告する。

 課題を抱えながらも急成長を続ける中国。「最後の楽園」と呼ばれる市場は、今の勢いで成長を続けると、今年、日本を抜いて世界2位の経済大国になる見通し。アメリカと中国の「ビッグ2」時代の到来は近づいていると言える。